文藝春秋は3月6日(水)、映画『碁盤斬り』(5月17日公開)の脚本家・加藤正人さんが、自身で書き下ろした小説『碁盤斬り 柳田格之進異聞』を発売する。
映画『碁盤斬り』は、落語の演目として長く親しまれてきた「柳田格之進」を題材に、『日本沈没』『クライマーズ・ハイ』、『凪待ち』などを手掛けてきた脚本家の加藤正人さんが、3年半の月日をかけて書き上げたストーリー。
この映画の世界を、自身が小説として書き下ろした。
登場人物の細かな心情の描写はもちろん、映画では描き切れなかった若き日の格之進の姿、また映画のラストの「その後」がしっかりと描かれており、小説好きの読者も十分に楽しめる作品となっている。
落語の「柳田格之進」は、囲碁を巡る人情噺である。
落語のみならず、歌舞伎、文楽、講談など、古くから人々に愛されてきた物語には、日本人が愛するキャラクターが登場する。格之進もまた、魅力のある人物だ。
貧しい浪人暮らしをしているが、品性があり、武士としての矜持をしっかり守り抜いている。
物語に登場する他の人物も、大切な人のために自分は犠牲になっても構わないという高潔な精神を持っている。
こういう人物や倫理観を描けるのが、時代劇の素晴らしさだ。
日本人の心の底には、何よりも人間の品格や礼節を重んじるという道徳観が流れているはずだ。
今の若い人たちにも、格之進のような人物像を受け止めてもらいたい……。
そういう願いを込めてこの小説を書いた。
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